翌日の土曜日、結局何も出来なかった私は、どうしたものか?とずっと考えていた。そして、その日の夕方、自宅に帰る車の中で家内にそのこと話した。
「うーん。彼の件は僕だけではちょっと役不足だなぁ、誰か適任者見つけないとね。例えばMさんとか?」
「あ、電話してみようか?」
そう言うと彼女は早速Mさんに電話し始めた。Mさんというのは、このWebの中でも「現代の寓話としての物語」の中に出てくるMさんだ。彼女なら何か分かるかもしれない。
「あ、Mさんですか?どうもご無沙汰してます。」
「あら由美さん久しぶり、いやぁちょうど良かったわ。私も連絡しようと思っていたのよ。そろそろ、そちらにも顔出そうと思ってて、明日行こうかと思ってたんで・・・。」
「あ、ちょうど良かった。実は私の友人に神様が乗り移って・・・。」
「あ、あら、それ以上言わなくていいわよ。あらあ、その人大変そうね。なんか、来てるわよその神様。」
「えっ、どこにですか?」
「あなたが、話した途端私のところに来てるのよ。ああ、これはちょっと面倒ね。わかったわ、明日やっぱり伺うわ。」
すでにお見通しのようである。そんなわけで、翌日Mさんがやってきた。
「あ、どうもお久しぶりです。」
「どうも、ちょっと今回は面倒な神様拾ったみたいね。」
「そうなんですよね、なかなか言う事を聞いてくれない。」
「なんかね・・ちょっと待って、ああ、この神様、有史前とか、とにかく、今の神様じゃないわね、なんというか相当原始的な神様なんだけど、力は強いわね。」
「そうなんですね。」
「その上、日本の神様でもなくて、うーんアジア系でも無いわね・・何処かしら・・アラブとかなんかそっち方面みたいよ。」
当然まだなにもMさんには説明していない。
「どうしますかね?」
「そうねぇ。しばらくしたら落ち着くんで、それまでは話にはならないでしょ?」
「ええ、そんな感じです。でもまあ、彼の体力も心配ですからね。あの状態が長く続くと自律神経イカレますから。」
「そうよねぇ。でもねぇ、今はどっちにしても無理よ。そのうち向こうから来るので、それまで待ってた方がいいわよ。」
「わかりました。そうしましょう。しかし、まあ難儀だなぁ。神様がついてくれるというのはありがたい事ではあるけど、神様にもよりますね。」
「そうよ。私なんか、神さまの手伝いばっかりやらされて大変なんだから、でも、この前は玄武ちゃんと会えたのよ。すっごく優しい龜で、出雲から来たお坊さんに渡して連れて帰ってもらったけど、写真見る?」
そいうとMさんは携帯に写っている玄武の写真を見せてくれた。(それが実際は何であるかはまあ、突っ込まないでください。たしかに玄武に見えるのは事実です)
「それにしても浅川さんの後ろの皆さんの正体が分からないのよね。人じゃないのは分かるんだけど、なんというか、『千と千尋の神かくし』って映画あるじゃない。あの中の神さまみたいなのが、たっくさん付いてるわよ。あなた、変わってるわねぇ」
とまあ、このような会話で、その日は終わった。


