2010年 12月 04日(土曜日) 19:25

車で立ち往生

作者:  編集責任者
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今日は、プログラマーの自宅まで、サーバ用のPCを持って行く事になっていて、午前中他の友達のPCのメンテナンスをやったあと、蘇陽に向かって車を走らせる事にした。

約束の時間からするとだいぶ早い。そこで、先日買ったデジタル一眼レフの撮影テストもかねて、途中の撮影スポットで写真を撮ることにした。

自宅を出て、しばらく行ったところにある馬門(まかど)の石橋でも撮影してみようと、幹線から下り坂の脇道へと折れた。この先は石橋まで細いコンクリートの道で、車一台がやっと通れる程度の道幅しかない。途中から少し坂が急になったが、坂道を下りてしまえば、車を回して登れる角度であったので、そのまま進むことにした。

しかし、コンクリートで固められた坂道には秋の落ち葉が積もり、ブレーキをかける事も難しい。所々には苔が生えている部分もある。

「あ、これはまずい」

と思って車を止めたが、時すでに遅く、バックでは戻れない状況になってしまった。そこで、一端車を止め、先がどうなっているのか確認する事にした。

「あれ?道ないじゃん」

車を止めたその先は右カーブに成っていて、先は見えない。その先は左向きにクの字に折れ曲がっているのだが、そこから先コンクリート舗装が崩れ、岩が露出している。つまり前進できない。

「さぁて、困った。」

仕方なく、車からシートなどを引っ張り出し、すべる部分に敷いて、滑り止めにならないか試したが、これも難しい。乗っているのが軽のバンだったため、荷物が載っていない状態の後輪には上からの重さがかからないので、簡単にスリップしてしまう。

しばらく色々やって諦める事にした。

「あ、これは無理だな」

さらに問題なのは、山の中なので携帯の電波が届かない。そこで、電波が届くところまで歩く事にした。たまたまその近くで電波が届く事を知っていたので、とにかくその方向に向かう事にした。(使っているのがiPhoneだった為、田舎ではSoftbankの回線品質はNTTに比べて貧弱です)

今日の、山都町は快晴。周りは秋の終わりの色に溢れている。歩きながら感じたのは空の美しさと、木々の緑の色彩の豊かさ。同じ緑でもいろんな緑がある。真っ赤な葉色は櫨の葉だろうか。誰も居ない石橋の下にはきれいな川の水が休むことなく流れている。

30分ほど、ゆっくりとその有様を楽しみながら歩いた。

電話が通じる所まで来て、親戚の車屋さんに連絡がつき、来てくれる事になった。彼が到着するまでの30分また、ゆっくりと周りを歩いた。彼が来て無事車は動けるようになった。

たぶん。若い時だったらこうは行かなかっただろう。

山の中でスタックしただけで、焦って何をしていいのか分からなかったかもしれない。しかし、それは当然の事だ。若い時は、目的の為に最短の道を目指してしまう。

それはそれで、必要な事なのだが、目的を達する事だけが重要なのではないという事が自分の中に熟成した時に、全ての状況を楽しむ余裕が生まれる。

焦る必要はない。

そして、ネガティブな出来事も楽しめてしまう自分に少しだけ近づけたのを感じ、ちょっとは成長したんだなと、自画自賛したい気持ちになった。

友人に少し遅れると連絡して、走り出した車の中でハナレグミの曲を大きな音で聞きながら、窓を開けた。

秋の終わりの風が心地よく、解像度の上がったような外の景色が、目の前を流れていく。そして思った。

「僕は今幸せだなぁ」

と、ね。

forest

最終更新日: 2010年 12月 04日(土曜日) 19:39

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