ヒーラーの皆さんと話していて難しいなと思うことは、「関係性をどこまで維持するのか」という問題です。
むかしこんなことがありました。
中学時代の同級生でA君というのがいました。彼とは一時とても仲良くしていましたが、何かの問題で決裂していました。そのこと自体はすっかり忘れていましたが20年くらい経ったある日、突然電話が鳴りました。
「Aだけど、久しぶり。いま君のうちのそばで飲んでるんだけど、ちょっと来ないか?」
「おお、ひさしぶりじゃん。いいぜ、実は今自宅でも飲み会してるけどまだ飲んでないんで、ちょっと行くよ。」
私は、それほど考えることもなく、飲み会の途中抜け出し彼が指定した近所の飲み屋に向かいました。居酒屋に入ると手前の隅の席に一人で居る彼が見え、声をかけました。
「いやあ、久しぶりだな。何しているの?」
「今は銀行勤めだけど、いまちょっと休職中。」
「そうなんだ。元気そうで何より。で、今日は何かあったの?」
私がそう聞いたのも、彼が一人で居酒屋に居て、なんとなく違和感があったからです。
「それがね。あの奥の席あるだろ、あそこに女4~5人のグループが居るだろ。」
「ああ、確かに居るな。それがどうしたの?」
「あの右の方に座っている可愛い子、あいつ俺の女なんだよな、で、ちょっと今日は見張りに来ている訳。」
「ええ、見張り?見張りってお前の彼女だろ?」
「いや、あいつ不倫してるのよ。それで今日、会社の女の同僚と飲むって聞いてたんだけど、それは言い訳で、本当は相手の男と会うんじゃないかと思ってさ。で、一人で飲んでると目立つだろ。その時お前のこと急に思い出したんだよ。」
「一人だと不自然だから呼んだわけね。」
「そうそう。だから呼んだ。」
これはもうちょっとおかしい訳です。彼女の浮気の尾行のカモフラージュで20年間会わなかった友人に電話して、呼び出す。すでに理論が破綻しています。
「そうなんだ。分かった。でも、見たところ本当に女だけで飲んでるみたいだから、今日はきっと大丈夫だよ。ここに長居しているとばれる可能性が高いから、ここはひとまず家に来いよ。」
とにかく、このまま彼をほったらかしにするわけにも行かず、無理やり自宅に引き込むことにしました。
それから、彼との戦いが始まりました。
つづく


